めまいとは

自分や周囲がぐるぐる回っているように感じたり、ふわふわと浮いているような感じ、立ちくらみのように意識が遠のく感じなど、「バランスが取れない」「地に足がついていない」と感じる状態のことです。

めまいの感じ方のタイプ

めまいには大きく分けて3つのタイプがあります

めまいの原因は？

めまいの原因は大きく「耳の病気」と「脳や全身の病気」に分かれます。

耳が原因のめまい

• 良性発作性頭位めまい症（BPPV）
• メニエール病
• 前庭神経炎
• 突発性難聴に伴うめまい

これらは比較的よく見られ、耳鼻咽喉科での診察や治療が中心になります。

脳・全身の病気が原因のめまい

• 持続性知覚性姿勢誘発めまい（PPPD）
• 脳梗塞や脳出血（特に小脳や脳幹）
• 高血圧、低血圧
• 貧血や脱水
• 自律神経失調症
• 心因性（ストレスや不安）

このような場合は、神経内科・内科・循環器科などと連携して対応することもあります。

検査

診察では、めまいのタイプ・持続時間・きっかけ・他の症状（耳鳴りや難聴、頭痛など）を詳しく問診します。必要に応じて、以下の検査を行い、原因を特定します。

• 聴力検査
• 平衡機能検査（赤外線眼振検査など）
• 頭部MRIやCT
• 血液検査

などを行い、原因を特定します。

治療

原因によって治療法が異なります。

• 耳が原因のめまいには、抗めまい薬、利尿剤、リハビリ（理学療法）などが使われます
• 血圧や貧血が原因の場合は、それぞれの基礎疾患の治療を行います
• 心因性めまいでは、ストレスケアやカウンセリング、漢方薬なども効果的なことがあります

日常生活での注意点

• 急に動かず、ゆっくりと動作する
• 水分をしっかりとる
• 睡眠不足やストレスを避ける
• 無理せず安静にする（ただし、動いたほうが改善するタイプもあるので医師の指示を）
• めまいが強く、手足のしびれ・ろれつの回らなさ・意識障害があるときは脳疾患の可能性もありますのですぐに救急医療機関へ！

良性発作性頭位めまい症

寝返りや顔の向きを変えたときに突然起こる、ぐるぐる回るようなめまいが特徴の病気です。耳の奥にある「三半規管」に耳石（じせき）が入り込むことで、体のバランス感覚が乱れて起こります。めまいは数秒〜数十秒ほどで自然におさまります。

症状

• 頭の向きを変えたときに、急にぐるぐると回転するようなめまいが数秒〜2分くらい続き治まります。
• 一日に何度も繰り返すことがある
• 寝返り・起床・洗顔・上を向くなど、決まった動作で出やすい
• 吐き気を伴うこともあるが、持続的な嘔吐や難聴・耳鳴りは少ない
• めまい以外に大きな神経症状（手足のしびれ、ろれつが回らないなど）はない

原因

耳の奥にある「三半規管（さんはんきかん）」というバランスを感じる器官に、耳石（じせき）という小さな結晶のかけらが入り込んでしまうことが原因です。通常、耳石は「耳石器」という部分にありますが、何らかのきっかけで剥がれ落ち、三半規管の中に入り込むと、体の動きと関係のないバランス信号が脳に伝わり、ぐるぐる回るようなめまいが起きます。加齢や軽い頭部外傷、耳の病気のあとに起こることが多いですが、はっきりした原因がわからないこともよくあります。

検査

治療法について

この病気は自然に治ることが多いですが、以下のような治療で回復を早めることができます。

予防方法

• 急に頭を動かさず、ゆっくりと動作する
• 寝返りや起き上がるときは、一呼吸おいてからゆっくり動く
• 不安が強いときは、無理をせず医師に相談を
• 自己判断で運転や高所作業は避けましょう
• めまいがして転倒し頭部をぶつけると頭部外傷などを引き起こすため、めまいがしている間は無理に動かず、座ったりしゃがんだりして頭を打たないようにしましょう
• 同じ側ばかり下にして寝ないよう注意

耳鼻科受診のタイミング

次のような場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします

• 頭の位置を変えたときにぐるぐるするめまいが繰り返し起こる
• 数日たっても症状が改善しない
• 自己判断での体操が難しい、または症状が強い
• 難聴や耳鳴り、しびれ、ろれつ障害など、他の神経症状を伴う場合（他の病気の可能性あり）

まとめ

良性発作性頭位めまい症は、命にかかわる病気ではなく、正しい診断と体操で改善が見込める病気です。原因がはっきりしていることが多く、治療効果も高いので、早めに耳鼻科で正しい評価と運動療法を受けることが大切です。

メニエール病

めまい・耳鳴り・難聴・耳の詰まった感じ（耳閉感）などが繰り返し起こる病気です。特に、発作的にぐるぐる回るような激しいめまいが数十分から数時間続くことが特徴です。発作は何度も繰り返すことがあります。

症状

• めまいは数十分〜数時間続くことがあり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります
• 回転性のめまい：グルグル回るような強いめまいが突然起こり、数十分から数時間続くことがあります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
• 難聴：はじめは低音域が聞こえにくくなり、進行すると広い範囲で聴力が低下することがあります。
• 耳鳴り：耳の中で「ゴー」「ジー」といった音が鳴り続ける感じがあります。
• 耳閉感：耳が詰まったような感覚や圧迫感があることもあります。
• 症状は片耳に出ることが多いですが、まれに両耳に出ることもあります。

原因

• 内耳（耳の奥）には「リンパ液」があり、バランス感覚や聴力を支えています。
• このリンパ液が何らかの原因で過剰にたまり、「内リンパ水腫（すいしゅ）」という状態になると、内耳の機能がうまく働かず、めまいや難聴などの症状を引き起こします。
• ストレスや疲労、睡眠不足、気圧の変化などが誘因になることが多いとされています。

検査

耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います

診断のポイント

• 上記のような症状を繰り返していること
• 聴力検査で、変動する難聴（特に低音域）がみられること
• 他の原因によるめまい（前庭神経炎、脳の異常など）を除外すること

治療法について

メニエール病は慢性疾患ですが、適切な治療で症状をコントロールできます。

薬物療法

• 利尿剤：内耳のリンパ液の量を減らすために使用します。
• めまい止め：急性発作時のめまいを和らげます。
• ステロイド：症状が重い場合に炎症を抑えるために使われます。

生活指導

• 塩分を控える（リンパ液をためないようにする）
• ストレスを避け、睡眠をしっかりとる
• 規則正しい生活を送ることが大切です

中耳加圧療法

• 専用の機器を用いて耳に圧力をかけ、内耳に溜まったリンパ液を押し出すことで症状を改善する治療法です。

手術療法（難治例の場合）

• 内リンパ嚢開放術や前庭神経切断術などが選択されることもありますが、あくまで薬で効果が出ない場合の選択です。

生活上の注意点

• 規則正しい生活（睡眠不足・過労を避ける）
• ストレスをためないことが大切です
• 塩分控えめの食事（内リンパ水腫を防ぐため）
• アルコール・カフェインを控える
• 発作がある日は無理をせず安静に過ごしましょう

耳鼻科受診のタイミング

• めまい発作が繰り返し起こる
• 耳鳴りや難聴が続いている
• 片方の耳だけ聞こえづらいと感じる
• めまいと一緒に耳の症状がある

上記のような症状がある場合は、早めに耳鼻科を受診して原因をはっきりさせ、適切な治療を受けることが大切です。